最近調査した古い建物は、
店舗を併用している木造在来工法2階建てだったのですが、
1階の道路に面した部分に2店舗と
2階の住宅に上がるための階段が有り、
その二つの店舗は道路側は全て
壁のないシャッター付きの開口部となっていて、
そのほかは2階に続く
階段室に入るための扉が有る平面となっていました。
木造の耐震性は壁の有無が重要!
2階建ての道路に面する部分の1階部分に全く壁がない建物でした。
木造の住宅は
耐力壁という壁で地震や台風に耐えているのです。
平面図で見て四角い建物の1辺に全く壁がないのでは、
地震の時に建物が
揺らされた場合、建物にねじれが加わり危険となります。
そのために2000年に建築基準法という法律が変わり、
木造の耐力壁を4方向バランス良く配置するようになりました。
2000年より前の建物は建物の4方向の一部に壁がなくても、
他の部分で壁を造って全体で足りていれば建てることが出来たのです。
以前は適法だが、今は違法な建物もある!
建てた当時は違法な建物ではなかったのに、
法律が変わり現状は違法となっている
建物を既存不適格建築物といいますが、
木造住宅の場合、増築などの確認申請を
必要とする工事以外のリフォームの場合は、
現在の法律に合わない既存不適格建築物を
現状の法律に合わせる事をしないまま
リフォームを行っているケースはあり得る事だと思います。
今回調査して建物のように、2000年より前に建てた、
1階の道路に面している部分が店舗に使われていて、
店舗以外は2階に上がる階段に入るための巾のせまい扉だけなので、
壁を設ける事が
出来るのは店舗部分だけです、しかしその店舗が現在テナントで
貸しているか自分で営業している場合、店舗の道路側入り口の
間口を縮めてくださいと提案する業者もいれば、しない業者も
いるかもしれません。
依頼したい事は業者にはっきりと伝える!
リフォームを依頼するお客さんからすれば、
リフォームを行う以上専門の業者に頼んでいるので、
当然建物の安全性について特に注文せずとも、
やってくれるはずだ、
と思っているものと思います。
耐震性の確保を提案しない業者がいた場合、
その業者はこう思うかもしれません。
お客さんは耐震性について特に心配している様子もなさそうだし、
特に依頼があるわけでもないし、
耐震の改修をしていたら予算が合わないし、
こちらが勝手に耐震の改修の案で見積もりを出したら
競合他社に仕事を取られてしまうかもしれない。
という、お客さんとリフォーム会社との思い違いは、
実際に結構あると思います。
リフォームを頼む方は事前に考えられることは考えて、
それでも不安な時は専門家に相談するのもいいと思います。