われわれ設計者が住宅の断熱材や
外部の開口部を検討する際の目安として
便利に用いているものに、
性能表示の
*外気平均熱貫流率の基準値
というものがあります。
しかし、
仮に一番性能の高い等級4の基準値を
下回っていれば冬季の寒さからも
快適な住生活が送れるかと言えば、
実態としてはそうでもないと思います。
*外気平均熱貫流率の基準値:
全国を1地域(北海道の一部)から
8地域(沖縄県)に分けて、
8地域を除きそれぞれ等級ごとに
数値が規定されている。
(熱貫流率は数値が小さいほど
断熱の性能は高くなる。)
真に快適な断熱材方法を設計するには。
それでは何を基準に住宅の断熱性能を確保するように
設計すればいいのか、ということになりますが、
参考になりそうな指標として
民間が主導している「HEAT20」という基準があり、
G1とG2という二つのグレードがあります。
Studio Picoがある横浜市や東京の23区は
性能表示の6地域に該当しますが、
「HEAT20」のG2という高い方のグレードの
外皮平均熱貫流率の規定値は0.46という数値
ですが、それは、
性能表示でいえば1地域(北海道)の
断熱性能等級の一番高い等級である
等級4の規定と同じ値です。
それでも、
横浜や東京23区で
それでも真冬に無暖房で過ごすことは
できないのではないかと試算されています。
断熱性能を上げたいのであれば、個別検討が必要!
いずれにしても、計画の地域で実際に真冬でも
無暖房に近い生活を送るには、
現状使われている規定値だけを頼りにしていたのでは
目的を達成できそうにありません。
しかし、横浜や東京23区のようなところでは、
高度地区の斜線、道路斜線、居室の採光により、
高さが抑えられているため、
居住スペースとの兼ね合いで
断熱性能を上げるのも制約があり
難しい場合もあります。
断熱性のをあげるためには、
その地域性や建物に合わせた計画が必要になります。