最近電車の車窓から見ていると首都圏を離れた敷地に余裕のある土地に建てられた住宅でも、
屋根の出(軒の出)が無い、いわゆる軒ゼロ住宅をよく見かける。
そのような住宅は大概、大手ハウスメーカーの住宅である場合が多い。
都会的なスタイリッシュな住宅を建てたいのでそのような住宅が選ばれているのかもしれない。
大手ハウスメーカーなどは全国展開するのに同一のスタイル(仕様)とするほうが都合が良いし、
お客様が望んでいるので、あえて軒の出を多く出せるところでもそのような提案を積極的に行っていないのかもしれない。
ハウスメーカーも自社ブランドの宣伝で「長く住める家」など耐久性があることをアピールするならば、
建物の耐久性に大いにかかわる軒の出の効能を説明して提案していれば、どこに行っても軒ゼロ住宅ばかり
という無自覚が故の地域性がない町並みばかりということにはならないのではないかと思う。
ハウスメーカーに頼むお客様も
”当社はお客様の自由な発想をお手伝いする”とか ”当社はオーダーメイド住宅です”
などと言わるると、大々的に宣伝している大きな会社だから小さい工務店や個人でやっている設計事務所などと比べるまでもない
と、思われるかもしれないが、大手ハウスメーカーといえども一組のお客様に対応するのは営業一人と設計一人だろう。
私は街づくりの関係のNPOに参加して活動を行っているが、
そこで様々な建て主の方々とお会いしてきたし、ハウスメーカーの営業、設計、現場監督の方たちと接してきたが、
ハウスメーカーが全社を挙げてお客様を支えるなんてことは考えないほうが良い。
営業、設計、監督は会社人で会社の枠の中で、お客様には流れ作業的に業務を行っている。
そんなこと当然だと思うかもしれないが、お客様はそのメーカーに依頼した後から家づくりの方法や営業や設計が
提案・説明する内容に対して、自分が下した選択は正しかったと考え、
「もしかしたら別の考え方が有るのかもしれない」などとは考えないのが当たり前だ。
自分が下した選択は正しかったと思うのは、
当然ながら小さな工務店はや設計事務所に住宅の設計と工事を委託または請負契約をされた方であっても同じことだが。
小さな工務店や設計事務所は私を含めて自社をアピールすることが非常に苦手だ、いうなれば、技術バカであったり、
頑固職人であったり、デザインお宅であったりする人たちが多くいる世界かもしれない。
しかし、お客様とその〇〇バカがピタッと合えば家づくりの最強コンビが完成する。
出来れば家づくりを考え始めたら、色眼鏡を外すことをしていただき、どこに依頼するかはじっくりと考えてほしい。