日本の過密都市の狭小土地

住宅が余っている時代だというのに、
過密都市の住宅用地がますます細分化されている。

東京を例にとると。

先日、NHKで放送されているブラタモリで、
田園調布が取り上げられていたが、
田園調布が「元祖・新興住宅地」だそうだ。
当時は中流のサラリーマンのために分譲された新興住宅地だった。

戦後は戦災による住宅不足により、
当時は応急的に1950年住宅金融公庫が設立された。
その後1966年に「住宅建設5ヵ年計画」で、
住宅供給を計画的に進め、持ち家政策により、
多くの人が「庭付き一戸建て」の取得を目指す。
「住宅すごろく」のゴールを目指した

私も「住宅建設5ヵ年計画」が始まったころ両親が購入した、
神奈川県の公社が分譲した建売住宅で育った。
建売といってもその当時土地が80坪もあり、住宅は平屋であった。

その後、1980年代に住宅の供給過剰の時代へと移り、
1998年ころから「住宅建設5ヵ年計画」方式の見直しが
始まり、2006年には住生活基本法が制定され、
住宅の質を重視するようになった。

今まで日本は景気が後退するたびに持ち家政策が景気刺激策の
道具となったきたが、
供給過剰による方針を転換させたのはまだ最近だ。

購入する土地を子供が受け継ぐことも考慮したい。

今の若い夫婦の中にも東京に一戸建てを建てたいと思う方は結構いる。
あいまいな記憶だけれど以前、
住宅金融公庫が融資対象としていたのは、
100㎡以上の土地という縛りがあったと思うが、
いつの間にかその縛りもなくなっていた、
それはだんだんと過密都市の分譲する土地が
細分化されていったためなのかもしれない。

最近、購入した土地の住宅建設について相談を受けた。
その土地は間口約4.5mで奥行約12.5m、敷地面積は17坪。

住宅が余っている時代である、
しかし都心で土地を購入して家を建てる場合、
ここまで土地の細分化が進んでいる。
「庭付き一戸建て」の取得を目指す、
「住宅すごろく」はいまだに続いていると思う。

この土地を購入されたのは若い夫婦。
最初は中古の住宅を探していたらしいが、もしかすると
購入した土地をみて、業者の説明を聞き、
自分たちでも東京の都心に戸建てが建てられると思って
購入したのかもしれない。

購入された若い夫婦の方から聞いた話として、
民法で隣との境界沿いの壁は50cm離す。
というものがある。
その土地を購入するときの契約書には、
民法でいわれている隣地境界線沿いの壁が50cm取れないことを合意する、
という文が書かれていたという。

住宅が余っている時代、人口減少も始まっている。
今、自分たちの住宅がほしいという気持ちもわかるけど、
将来、自分の子供の世代になったときその子供に建物を受け継ぐことになるが、
そのような土地で大丈夫だろうかと、いったん考えてほしい。

業者は売るプロである。
お客が土地を気に入っていると見るや、
契約の期限を迫ったり、躊躇しているとほかの人が買ってしまうと煽ったり、
売れればいいという事でいろいろな売り方をしてくる。
土地を見て希望も抱くだろう、でも将来を冷静に考えることも必要ではないだろうか