Hさんとの空き家の活用について意見交換

Hさん

Hさんは現在は、空き家を再生させて賃貸で運用されているとのこと。
福祉への貢献はこれから、という感じでしょうか。

私といえば、今は具体的に空き家に関わりはありません。
私は増え続けている空き家と、ホームレスと呼ばれる方々との関係を念頭に置いていたのですが、
住宅確保要配慮者には、身体的、精神的障碍をもたれている方や、シングルマザーの方など、
社会の中には住宅に困窮している方々は多いし、Hさんが言われるように住宅確保要配慮者に対しての
サポートも少ないと感じます。

空き家が増える一方、住宅に困窮している人が多い。
そういう矛盾に対して、
住宅に関わる仕事をしてきた者として、何ができるのか?

例えば、国内の住宅相互の比較だけを見ていては、気づかないのですが、
他国と比べると日本の住宅の断熱性は劣っています。
それの何が問題なのかと思われるかもしれませんが、
住宅確保要配慮者には体力的に低下している高齢者や持病を抱えている人が多くいると思います。
低断熱である事により、ヒートショックが起きるリスクは健常者よりも高くなること、
そして、最近は燃料費、電気代の高騰が続いていて、かつ、生活保護費の減額も検討されています。
住宅確保要配慮者にとって、燃料費の高騰と低断熱両面が、生活を圧迫しています。

一方、ドイツでは貧困層が住む市営住宅の改修は「社会問題の解決」も目的だということで、
「あたたかい家に住むことは基本的人権」という考え方が浸透しているようです。

住宅確保要配慮者の住まいにとって、建築から見た課題はほかにもありますが、
まずは、住宅確保要配慮者の方々が、それぞれ、住みたい地域で住まう事ができるようになることが第一だと思います。
その上で、住宅確保要配慮者の生活環境を改善することが、建築の専門家としてやるべき事ではないかと考えています。

だけど、まずは住みたい地域に住まうことができることが第一であり、
住宅確保要配慮者向けに、空き家を再生して提供する活動に参加できればとも思います。