今回は現場監理とインスペクションの違いなどについて
私の意見を書いてみました。
私は、2004年より建築士として各種の検査を行ってきました。
そして改めて数えてみると、今までに概ね2百数十件の
建築中住宅検査と新築または中古の住宅診断を行っています。
現在、実践ホームスインスペクション(中古/新築住宅診断)という題で、
完成済みの住宅の検査の内容をお伝えしていますが、
それに加え今回から、
実践インスペクション(住宅の建築中第三者検査)という題で、
建築中に第三者として行う検査の内容も不定期で書いていこうと思います。
具体的な検査の内容に入る前に、
私がどのような立場で、またどのような目的で
検査を行っているのかをご説明したいと思います。
まずは、”住宅の建築中第三者検査”の第三者について。
第三者という語句を入れたのには意味があります。
今まで私が行ってきた検査(インスペクション)は第三者の立場で
行ってきましたし、今後も第三者の立場で
検査(インスペクション)を行います。
それでは第三者とはどのような立場の人でしょうか。
第三者とは(広辞苑 第5版)によると、
「当事者以外の者。その事柄に直接関係していない人。」
と記載されています。
広辞苑によれば、第三者とは当事者または関係者以外といえると思います。
また、当事者とは権限もあるが責任もある者とも言えます。
それでは第三者ではない当事者または関係者
とはどのような人たちでしょうか。
ハウスメーカーの営業の方?、設計の方?、監督さん?。
まずは・依頼主(施主)。
建築を依頼するところとは建築請負契約を結ぶと思いますが、
その相手の・ハウスメーカー(代表者)。
建築を行う前に建築関連の法規に建築物が適合しているか
確認を受ける建築確認申請に記載がある、
設計者と
工事監理者
の4者になると思います。
その中でも工事監理者とは?。
当事者といわれてもどんなことをする人なのか、わからないかもしれませんね。
工事監理者は、
その人の責任で設計者が書いた設計図通りに工事が
実施されているかいないかを確認する者をいいます。
あれあれ、検査員(インスペクションを行う人)と工事監理者は何が違うの?
当事者として責任がある現場監理者が現場監理を行えば、
検査員(インスペクションを行う人)など必要ないではないか。
と思われることと思いますが・・・・その通りだと思います。
検査員(インスペクションを行う人)と工事監理者の違いは、
かなり大雑把にいえば、第三者と当事者の違いといえます。
当事務所のような住宅専門の設計事務所に
設計・監理業務を委託した場合は大概、設計者=工事監理者となります。
契約も設計・監理業務委託契約となり、
工事監理も業務としてきっちりと行いますが、
ハウスメーカーや工務店に依頼された場合、
設計図通りに工事が実施されているかいないかを確認する
監理者(現場監理者)の機能が皆さま方が思っているようには
働いていないのが現状です。
話が飛びましたが、当事者ではない第三者とはどのような立場なのか?。
結論を言えば、
第三者とは当事者間のどこにも肩入れしない公平・中立な立場であると言えます。
施主・ハウスメーカー(代表者)・設計者・現場監理者は当事者どうしですが
施主と監督・設計者・営業の方たちとは家づくりの経験や
知識に相当なかい離があります。
ですので私は完全な公平・中立の立場を守りながら
検査(インスペクション)を行い、
施主に現場の状況を説明したり、技術的内容をかみ砕いてご説明する
施主のサポートを行うことが私の役割だと思っています。
私は検査を行う場合、以下の立場と目的で、検査(インスペクション)を行います。
・第三者の立場として施主のサポートとして検査を行う。
・不具合を事前に防ぐ狙い。
・当事者間の円滑なコミュニケーションの潤滑油的役割。