危険な擁壁

昨日の朝日新聞の朝刊の1面に首都直下 宅地被害36万件という記事が載っていた。

記事によれば、マグニチュード7.3の首都直下地震が起きると、コンクリートや石の壁(擁壁)が崩れるなど
宅地の被害が約36万か所で起きることが国土交通省の推計で新たに分かったとなっていた。

高度経済成長期に多くの宅地が造成されたが、それらが老朽化し危険性が増している。
築50年を超える擁壁の4割が危険度「大」とされたとのこと。

どのような擁壁が危険なのか

・建築基準法や宅地造成等規制法(宅造法)に
適合していない擁壁。
(2m以上の擁壁は建築基準法の確認申請が必要であり、
建築確認の検査済が交付されているものは一応安全といえる)

・コンクリートや石積の擁壁の上にコンクリートブロックを
積んで、増盛土を行っている擁壁。

・コンクリートブロックで土留めとしているもの。

このような擁壁のそばで住宅を建てざるを得ない場合、宅地の崩壊が起きた場合の対策をしておく必要がある。
危険な擁壁の上に建築する場合

・擁壁の最下部から30°の安息角度線を引いた場合その線より擁壁側に建物を配置しない。
(万一、擁壁が崩壊しても擁壁から離れているため一応は安心できる)

・敷地の関係などから擁壁から十分離して建築することができない場合、
杭状上の地盤改良を建物の基礎の下に擁壁下部から30°の安息角度線より
2m以上深く施工する。
(擁壁対策として行う杭状の地盤改良は、柱状改良(固化材使用)よりも
変位を引き起こしにくい鋼管杭を使用したほうが良いようです)

危険な擁壁の下に建築する場合

・擁壁に面する部分の鉄筋コンクリート造の基礎を高くして(高基礎)万一擁壁が崩壊しても、
木造の家が押しつぶされることを防ぐ。
(鉄筋コンクリート造の高基礎とする場合は、擁壁の高さや擁壁から建物までの距離などにより、
鉄筋コンクリート造の高基礎の高さや厚さや鉄筋の密度を検討する必要があります)

期せずして危険な擁壁のそばでご自宅を建てることになった方。
専門家と相談の上、最善のリスク回避の方法を検討してください。