工事中建築士は何をしているのか?
現場の職人さんはその仕事のいわばスペシャリストです。
であれば、工事を任せておけばいい住宅ができるのではないか?
そう思われる方もいらっしゃると思います。
確かに、ある面そうだと思います。
職人さん=その仕事のいわばスペシャリストではありますが、
住宅建築の現場ではたくさんの工種が入り乱れて作業をしています。
例えば、水道工事店さんが給水・温水管を配管していなければ、
大工さんが壁や天井のボードを貼れません。
ボードが貼れなければ内装屋さんがクロスを貼れません。
また、いくら職人さんが現場にいても材料が現場になければ
仕事ができません。
かといって、何でもかんでもどんどん現場に搬入しては
建物の内外がものであふれて仕事ができません。
同様に、工事中に発生した廃棄またはリサイクルできる材料が
放置されたままでも作業スペースを圧迫します。
それと、建築現場などで建物の外周に掛かっている足場の点検など
職人さんが安心して作業で出来るよう誰かが確認しなければなりません。
そのような現場を管理する役目を担っているのが現場監督です。
工務店での「一括請負」方式の場合、工務店の現場監督に現場の管理(マネージメント)を
おねがいすることになります。
専門工事店での「分離発注」方式の場合、現場の管理(マネージメント)は、
スタジオ・ピコ一級建築士事務所の設計・現場監理者である今井が担うことになります。
現場監督と設計者は「技術者」であり、実際に工事を行う「職人さん」とはどこが違うのか?
職人さんは、仕事の段取り、工事の方法、他の職方との連携、材料の手配など様々なことを実際の
仕事をしながら覚えていきます。
職人さんは、経験によるノウハウの積み上げが仕事をする上で重要なこととなります。
また、仕事を受けているハウスメーカーや工務店からその会社のマニュアルのような
安全面や品質管理に関する指導もあります。
現場監督や設計者である技術者は、職人さん同様に仕事に就いた会社の先輩、同僚から教わったことも
その後の仕事に生かされるのは間違いないことですが、職人さんとの違いは何かといえば、
建築の法規、技術的仕様、工学的データなどを学び実践するところです。
当然ですが、職人さんだから建築の法規や技術的仕様を全く知らないし、実践もしないということはありません。
どちらかといえば、
職人さんは「経験重視」技術者は「客観的視点を重視」ということです。
それでは仕事のスペシャリストである職人さんが実際に施工し、
技術者である監督が現場を管理すれば現場監理者は必要ないのではないか?
現場監督は現場の管理(マネージメント)を主な任務としています。
それと、現場監督の中には設計業務の経験者もいらっしゃいますが、
施工中の建物の建築法規上、設計上押さえておきたいポイントはその建物固有の場合もあります。
お客様が特に気にかけていた箇所など、お客様と基本設計段階から関わった建築士が
現場監理も行うことが基本です。
(設計者と現場監理者が別の場合は、設計図から設計意図を読み解く必要もあります、)
その場合も設計経験が豊富な必要があります)
スタジオ・ピコ一級建築士事務所の場合、
分離発注方式で建築を行うケースが多くありますが、
その場合は一括請負の工務店で現場監督が行っている現場管理(マネージメント)と
設計を行っている建建築士が行う現場監理を両方行うことになります。
通常、住宅の場合は現場監理は1回/週くらいの確認のところ、
現場管理+現場監理の場合、おおむね3回/週くらい現場に行き、
進捗状況の確認や検査、安全面の確認などを行います。
*監理の意味(スーパー大辞林3.0による):
監理は監督し取り締まること。(同音語の「管理」は組織などを
取り仕切ったり、施設や機械などを良い状態に維持したりすることであるが、
それに対して「監理」は規則を適用して監督し取り締まること・・・・
辞書にもあるように「管理」は建築現場の良い状態に保つ(職人さんが手戻りなく
、材料が入ってこないなどの待ちもなく、安全に作業ができる環境を整えること)であり。
「監理」は設計図書の意図や技術的な意図から見た現場の収まりから現場をチェックし、
できていなければ是正の指示をだし、是正したところを再度確認するということになります。
「現場管理」と「現場監理」には明確な業務の違いがあります。
どちらの業務もお客様だけでなく、現場に携わるすべての関係者に必要な業務であり、
スタジオ・ピコ一級建築士事務所での家づくりでは設計はもちろんのこと、
「スペシャリスト職人さんの経験と知恵」「現場管理」「現場監理」の三つの相乗効果が
重要であるとの考えています。
設計段階でお客様と共同で作り上げた設計図を、
実際に建てる施工段階でより安全な建物を提供するように
住宅専門の建築士としての役割を果たしてまいりたいと考えています。